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2018-19年シーズンのオープニングによせて

1948年12月10日、シャイヨー宮にて開催された国連総会にて、世界人権宣言が採択されました。それから70年の月日が流れ、この国際的な取組みの原則が、今また世に問われています。人類史上において、特に、今もその痕跡を残す植民地化時代と、その直後の時代において、人権宣言はときに悪用され、歪曲した解釈がなされてきました。こうして、民主主義と、人々や社会の繁栄のために最も重要な条文の精神が汚されてきたのです。自由、平等の基本理念は、残念なことに、この国の中でさえ、しばしば無視され、踏みにじられてきました。路上生活を余儀なくされる人々、移民たち、そして貧困にあえぐ人々たちに、将来はあるのでしょうか。

芸術の舞台も、この政治的課題、いや人類の課題というべき問題に無関心ではいられません。シャイヨー国立舞踊劇場では、喜劇、悲劇、そして社会問題を扱う政治色を帯びた公演を代わる代わる催しています。今シーズンは、こうした問題に関心を持ち、積極的にかかわるアーティストたちが、その取組みや見解を披露します。中でも12月10日の人権デーには、観客の皆様を「人類の夕べ」にお招きします。同じく70年の節目を祝うため、その他にも、コンゴ人アーティスト、フレディ・ツィンバ作の彫刻「命もたらすもの」が劇場に贈られることとなりました。これはマネージュ・ドゥ・シャイヨーの発注によるもので、当劇場のコレクションに新しい作品が加わるのは、実に1937年以来のことです。

また、今シーズンのシャイヨーは、その幕開けを日本カラー一色に染め、貴重な歌舞伎公演でオープニングを飾ります。

続いて、バットシェバ舞踏団がオハッド・ナハリン振付による4つのダンス公演を披露、うち1つは子供向けの作品です。当劇場は、国立舞踊劇場として、子供向け作品の上演に力を入れており、今シーズンは4つの新作およびリバイバル上演を予定しています。

そして、今年度はシーズンを通して、フィリップ・ドゥクフレ、ジャンヌ・ガロワ、リア・ロドリゲス、ロシオ・モリーナ、エマニュエル・ガットら、提携アーティストの客演作品が連なります。

また、写真家シャルル・フレジェも人類の多様性の豊かさを讃えるべく、今シーズン、その作品をシャイヨーにて発表します。当劇場は、アーティスト支援に力を入れており、実に公演の半数が新作です。また、地方・海外公演のほか、近隣のパートナー施設との協力による新作制作のための創作本拠地システムにも力を入れてまいります。また、当劇場ではそのコミットメントに順じて、日々、あらゆる観衆を対象とした取組みを重ね、芸術や作品が皆で分かち合える価値となり、喜びとなるよう、やむなき努力を続けています。

今シーズンのプログラムが、皆様の好奇心を刺激し、感動を呼ベるものであることを願っています。少々のスリルはあるかもしれませんが、多彩で美しく素晴らしい発見に満ちた旅に皆様をお連れできることを祈っています。自由と人権、そして芸術作品、万歳!それらは私たち皆のものです。自らの手で守り、共にはぐくんでいこうではありませんか。

総監督 ディディエ・デシャン